「中国版11周年記念Live」の「開発者座談会」
「中国版11周年記念Live」のプログラム「開発者座談会」が、2025年8月17日(日)に中国で放送されました。
その時の内容をまとめたものです。

デザイナーやクエスト担当さんのお話です。どんな話が聞けるか楽しみですね!
今回は衣装などのデザインを担当されている「クエストデザイナー」の髙柳早紀さんが参加されていました。
ですから当然ですが、お話も衣装デザインなどが中心のお話になります。
ご興味のある人は、ぜひご覧下さいね!

まとめじゃなく話そのものを聞きたい人は、下記の動画からご覧ください。
もちろん、モデレーターは中国語ですが、髙柳早紀さんは日本語で話されていますよ!
実際の放送
開発者座談会メンバー
- リードアイテムデザイナー
- 林 洋介
- クエストデザイナー
- 髙柳 早紀
お二方のお仕事内容はこのようになっています。
林 洋介さん

林 洋介さんは、リードアイテムデザイナーという肩書きです。
入社は 2001年ですから、髙柳 早紀さんより先輩さんです。
当然ですが「旧FFXIV 〜 新生FFXIV」まで、ずっとFFXIVのお仕事に関わっておられます。
お仕事内容は多岐にわたります。
旧FFXIVではクエストなども担当されていたそうです。
FFXIVとのクロスオーバーイベントなども、手掛けておられますね?

そのほかのお仕事としては、2か所染色の担当をされています。

中国で要望の多かった「イフリートジャンパー」の2箇所染色を実現した例。


この通り、色を変えられるようになって、個性が活かせる様になりましたね!
髙柳 早紀さん

髙柳 早紀さんはクエストデザイナーという肩書きでキャラクターデザインのお仕事をされています。
「新生FFXIV」からのお仕事ですが、もう最初の頃からずっと、デザインを担当されている大御所さんです。
クエストや人型キャラクターを主に担当されています。
関わったクエストはこんなにも沢山あります。
人型キャラクターのコーディネートも、この様に沢山のNPCに関わっています。

基本的に「クエストやストーリーに出てくるNPCは、高柳さんが作成している」と言っても良いくらい、それ程多くのキャラクターを手掛けられています。

高柳早紀さんについては、石川夏子さんと二人で語っていた時の「開発パネル」が以前にもあります。
ご興味のある方は、こちらもご覧くださいね!

装備のデザインについて(林 洋介さん)
中国での状況は、都度送られてくる?
シャンチュウさんから、FFXIVのユーザーがどの様に暮らしている(遊んでいる)かの定期レポートが送られてきます。

女性プレイヤーが増えると当然ファッションは気になるよね?

最近の中国でのFFXIVの傾向は?
- 女性プレイヤーが増えました。
- 多くのプレイヤーがファッションに興味があります!
だそうですよ!

装備デザインについてのお話
ここからは、開発者の雑談です。
「デザインをどうやって決めていくのか?」


装備って、簡単なものではない様ですよ?
こちらは、パッチ7.2のアガントームストーンの「キングダム装備」です。
この様な装備が、どうやって決まっていくのか?
それをお話し下さいました。

レイド装備、アラガントームストーン装備
レイド装備とアラガントームストーン装備は「パッチのその時の顔」となる装備です。
下記は『黄金のレガシー』以降の装備の数々です。

実は、これらはとても重要な位置付けにあります。
「カッコよくて、強そうで、シナリオの世界観にマッチしていること」
その為に何度も吉田Pと打ち合わせをします。
アルカディア ライトヘビー級 装備【右上角】を例に取って、見てみましょう!
皆さんは「アルカディア」では、「近未来風の衣装」を期待していたのではないかと思います。
確かに私もそう思いました。
決まってないのに作らないと行かないなんて大変!

ところが?
装備製作の段階は、まだシナリオ作成中の時点なのです。
つまり、まだ全体のストーリーや構成が決まっていないのです。
製作に入る段階では、「闘技場での戦闘のイメージにするのか」「近未来中心の仕様にするのか」、そういった事はまだ何も決まっていませんでした。
ここはスタッフも相当迷ったのだそうです。
そこで、「近未来風衣裳は、これからも恐らく幾つか作るだろう」と言う想定で、ここ(アルカディア)では「闘士風衣裳」にしようと言うことに決定されました。
それで、今回のような衣装になったのだそうです。
この装備イメージは、プロレスの開始時の入場シーンにガウンを着て入ってくるイメージを想像して製作したそうです。
ダンジョン・新式装備

先ほどのレイド装備と違って、こちらはもっと自由度の高いデザイン設定となっています。
何に使うかは未定だけど?
モデルが先行して決まっていて、喜ばれそうな装備、ダンジョンの雰囲気に合わせた装備など、そんな事からデザインが考えられます。
パッチ7.1のダンジョン装備「ユウェヤーワータシリーズ」は、実は同じ時期に作成が始まった「ドリームウェポン」を意識してデザインされているそうです。
それぞれの武器と合わせた場合に、両方が上手く生きる様なデザインにされています。
そこは気づかなかったです。気づいた方もいらっしゃったでしょうか?
この装備ですが、スタッフの間では「可愛いシリーズ」と呼ばれているそうですよ!

アジム装備枠?
この「バルダム覇道」のダンジョン装備は、『アジム装備枠』と言う名前で予め設定されていました。
それまでのFFXIV「新生、蒼天」では「ロード・オブ・ザ・リング」の様な正統派ファンタジーを目指していました。
ですが、「紅蓮」からは「少し趣を変えて行こうよ」と言う話になりました。
確かにストーリーもそれまでとは趣が変わりましたね?
そこで、この『アジム装備枠』と言う言葉が誕生したのです。

「アジム装備枠」と言う呼び名は今でも生きているのです。
下記の衣裳は、みんな「アジム装備枠」の衣裳です。

これが「アジム装備?」と思うかもしれませんね?
それぞれにも名前はついているのです。
ですが、新しい世界観に合わせて製作する装備を総称して、皆がそう呼んでいるのです。
販売装備・おしゃれ装備
自由な発想で作ってね〜

「販売用装備の良いところ」
それは、コンテンツや世界観に縛られないで、自由にデザイン出来るところです。
販売用装備のアイデアに追いては、各国の開発以外からの要望などが反映されています。

販売装備
中国で人気の装備はこの様な装備です。

おしゃれ装備
ミラプリに使えるものは、何でも「おしゃれ装備」と呼べるとは思います。
でも、林さん自身は「トレジャーハントで取得できる装備」、それこそおしゃれ装備だと思っているそうです。

これらの装備は、特に社内で指定があるわけではありません。
ですから、新人さんなどに毎回自由な発想でデザインを描いて貰っています。

若いデザイナーさんには、思い思いにデザインして貰って、新しいデザインも積極的に取り入れる様にしているそうですよ!
斬新なデザインの服が出たら良いですね!
おまけ
吉田Pのいつもの「PLLのポロリ」の前に、先に発表!
これからのパッチ7.4で出る「おしゃれ装備」はこれです!
なんの装備かはお楽しみに〜

そう言えば、最近のレポートでは?
中国では、「レッドブック」が流行っているとのことです。
(中国のSNS型ECアプリで、中国版Instagramとも呼ばれています。)

エモートはどうやって製作しているのか?
グループポーズなどで撮る場合にもう一つ気になるもの、それは「エモート」ですね?
これらは、中国でも要望が多くあって、それで製作したエモートです。

この様なモーションの元となるアクションは、どうやって作られているのか知っていますか?

モーションキャプチャ1という装置で実際の俳優さんの動きを取り入れているのです。
実は、この世界では、有名なおじさんがいるのです。
モーションキャプチャー俳優の古賀亘(こが わたる)さんです。
この方は、FFXIVのモーションだけをやっている訳ではありません。国内産ゲームの(戦闘も含めて)あらゆるモーションは、殆どこの方が演技されているのです。
そこまで言うと言い過ぎかもしれませんが、『バーチャファイター』、『鉄拳』、『モンスターハンター』等々のゲームのアクションを担当している方、もちろんファイナルファンタジーも携わっています。
そう言えば、あながち嘘ではないことは分かって頂けると思います。
この辺りの詳しいことは、Webで「古賀亘」さんを調べれば、いくつか出てくると思います。
一番の分かりやすいオススメは、下記の番組なのですが、すでに放送を終えているので「U -NEXT」くらいしか見られないかもしれません。
このように実際にアクションをしたものが、コンピュータに取り込まれます。
全身についている装置と周りのカメラが連動して、その動きだけを取り込みます。

取り込まれた動きの画面がこちらです。
アクターの動き通りにコンピュータ内で再現されます。

火鍋マウントができるまで
話は変わりますが、中国で要望があった「火鍋マウント」が出来るまでの経緯について教えてくれました。
シャンチュウさんからは、いつもレポートが届くわけです。
そんな中で、ある日こんな「企画書」が送られて来ました。
なんと中国では「火鍋に乗りたい!」人が多くて、その要望が多いので、ぜひお願いしたいという内容です。

企画書はこんな風にとても細かく書かれていました。
もちろん普段はこんなに細かくは書きません。
余程作って欲しかったのでしょうね?

読むと、ボムバルーンやフライングチェアのような発想ですね!

火鍋楽しそう!

最初は、この2つの案が提示されていました。

「火鍋らしさ」と考えるなら「B」の方かな?
と言う話で纏まりました。

では、「どうやって飛ぶ?」と言う話ですが?
A、Cは、見た目で「何か乗っている人が熱そう!」ということで・・・。

最終的には、下記の「B案」で行くことに決まりました。

そして、大まかな絵として、この様な姿になりました。
でも、この料理を3Dで作るのは、かなり苦労したそうですよ!

完成した「火鍋マウント」はこれです!
今では、FFXIVの中国の空を飛んでいます!

ちなみに吉田Pも「火鍋(食べる方)」が大好きなのだそうですよ!
装備のデザインについて(髙柳 早紀さん)

NPCのコーディネートについてのお話し

まだストーリー決まってないのにね!

初めは、口頭で発注が来ます。
今回(エレンヴィル)の要求内容は、「エオルゼア各地を旅して回るシャーレアンの人」「職業はグリーナー」「ヴィエラ族の男」。
すごく簡単な内容の依頼ですね?(これだけで考えるのですから、大変でしょうね?)
この、ストーリーなどでのキャラクターの製作は、大体は髙柳さんが任されて独自に製作するのです。
製作は、専用のツールを使います。
皆さんのキャラメイクと殆ど同じですが、少しだけ違うところもあります。
結構ボカシてありますが、見た目では細かそうですね?

シナリオ担当とは口頭で話をすることが多いと言っていましたが?
一度作成した後、実際のシナリオやゲーム画面が出来上がったところで、また再度確認作業に入ります。
そして、そこから更にまた、細かな調整をしていきます。

どんなところを歩くのか?

どんなストーリーなのか?


キャラクターを作成した後から、いろんな事が分かるのですね〜
シナリオは作成時にはまだ出来ていないし、出来てからでは製作が間に合わないので、そう言う意味では大変なのだそうです。
アルカディアの闘士たち
そんな中で「アルカディアの闘士」たちはどうやって作られたのでしょうね?

(爪研ぐ猫魂)ヤーナ ブラックキャット

ヤーナで拘った箇所
キャラクターだけではなくて、この場合バトルでのモンスター化した部分も関わって来ます。
ですから、そこはモンスターの部門と相談して共同で作ります(これは珍しいパターン)。

ヤーナのキャラクター設定
シナリオ班からは、この様な話が来ます。
「プレイヤー初戦の相手」「16歳位のサンシーカー族の女性」「明るく、素直な性格」
「万魔殿パンデモニウムで言えば、テミス、エリクトニオスのような設定」
これだけの情報から、キャラクターを作成していくのです。

さて、製作時の拘りは何か?
ヤーナは強そうに見えないといけないので、鋭い目にこだわりました。そこで、モデリングチームにお願いして目を少し作り替えました。
目尻に濃い黒、位置を変更など依頼をしました(この辺りは一般キャラクターとは違いますね)。

瞳の色も変えています。黄金の瞳で目つき鋭く!

でも、バトルの後は?
シナリオでは光の戦士と打ち解けて話あう設定です。
その時は見た目が変わるように、目のところの雰囲気を変更しました。
こちらは、きつい瞳にならないように、少し緑を加えています。

そして、ヤーナの完成です!

(劇毒の愛)ハニー・B・ラブリー
こちらは皆さんご存知の「ハニー・B・ラブリー」。

「ハニー・B・ラブリー」で拘ったところ
「アイドル」「ミッドランダー女性」との発注時の説明がありました。
こんなにアップで見たことないかも?


メイクはこの様にしました。
- 左上:濃い赤紫のアイシャドー
- 右上:ピアスはドーナツピアス。おしゃれを意識。
- 左下:髪色のメッシュに緑色。これは蜂のモチーフなので、植物をイメージしています。
- 右下:特注の赤リップを作成して付けて貰いました。(私たちにも欲しい!)
他にもオッドアイが緑と黄色なのは、蜂と植物をイメージしています。

戦闘以外の時は可愛いね!

洋服は、モンスターアートをかなり意識して作っています。
と言うのも、シナリオの詳細がまだ決まっていないけれど、先にキャラクターを作らないといけないからです。

最初の作成時、まだシナリオがなかったので、ハニー・B・ラブリーは「フラワークラウン」を付けていたのです。
ちなみにこのお花の部分には、メタリックオレンジを使っています。

これが「レギュレーター」と干渉してしまうことが、シナリオが出来てから分かりました。
そこで、モンスターの時は付けていて、シナリオ時は外している設定になりました。
そして、外してみると? やっぱり少し地味?

でも、高柳さんもミッドランダーの女性の中では、一番上手くできたと自負しているそうですよ!
(パーティー野郎)ダンシング・グリーン

ダンシング・グリーンは、ヴィエラの中でも随一難しかったです。

ダンシング・グリーンの設定

作っては見たものの? ヴィエラ族なので、美形でカッコ良すぎる?
ただの美形なヴィエラ族になってしまった!
そこで、ダンシング・グリーンにサングラスをかけて貰いました。
でも、まだサングラスの色が最終の姿とは違いますね?

モンスター時にはこんなに派手になりますね?
モンスターのサングラスがカッコいいです!
と言う事で、高柳さんは「キャラクターの時もこの様に出来ないかな〜」と考えて?

でも、ここは費用との掛け合いなのです。一般のサングラスを新たに作るわけにもいかず・・・。
「ファッションアクセサリー」を使って、最終的にはこの様な見た目になりました。
素敵ですね!

この様な感じで、いろいろなキャラクターを製作されています。
アルカディアの辺は、もう既に終わっているのかもしれませんが、これからも頑張って下さいね!

おまけ

実は「季節イベントの作成」も、お二人の大切な仕事なのです。
これまでも数々の季節イベントを作成して来ました。


そして来年の「プリンセスデー」には、これが報酬になります。
でも、この見た目とは違って、その時には「踊り」も変わりますし、「ペンライト」もこれとは変わっている筈です。


今は、もう来年の「星芒祭」の話をしているところだそうです。
お疲れ様でした!


大変なのは何も分からないけど、でも作らないといけないところでしょうか?
話を聞いて一番大変だなと思ったのは、やはり作る時にはまだシナリオや設定が固まっていないところでしょう。
「黄金のレガシー」一つ取ってみても、最初のシナリオのない状態で「ソリューションナイン」のキャラクターデザインを考えてください!」と言われても、なかなか思いつかないですよね?
そこは長年の阿吽の呼吸なのかもしれませんね?
簡単な「幾つかのキーワード」を貰うだけで、次々とキャラクターを作成していくデザイナーの方々、本当に「ご苦労さまです!」と言いたいです。
今頃は、もうパッチ8.0のキャラクターの作成に入っているのかもしれませんね?
- モーションキャプチャ
モーションキャプチャ (motion capture) は、現実の人物や物体の動きをデジタル的に記録する技術である。モーキャプ(mocap)と略される。
記録された情報は、スポーツ及びスポーツ医療の分野における選手たちの身体の動きのデータ収集などに利用されたり、映画などのコンピュータアニメーションおよびゲームなどにおけるキャラクターの人間らしい動きの再現に利用される。(出典:ウィキペディア) ↩︎
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