最近、Webで「光回線の10G(ギガ)インターネット」という文字を見る機会が増えていませんか?
高速回線で話題になっていますが、「今、利用している回線で通信が遅い時もあるけれど、深刻なレベルではない」など、興味があっても、ご自身にとって必要なスペックなのかどうかは迷ってしまいますね?
『10G(ギガ)回線』は、ゲーム機、スマホ、パソコン等、複数の端末で同時にインターネット接続する方にはお勧めです、というのですが実際はどうなのでしょう?
高速シューティングゲームでもないFFXIVに、そこまでの速度が必要なのでしょうか?

必要性、周辺機器の充実度、価格、それぞれを考慮すると?
結論を先に言うなら、「FFXIVに10Gbpsは必要ない」と思います。
10G回線にする事は早くなる訳ですから、それは良いことではあるのです。
ですが、いざ契約してみると? そこに思わぬ落とし穴が待っています。
今回は、話題の「10G(ギガ)光回線」はFFXIVで必要なのかどうかを、実体験から検証、考察してみます。
10Gbpsの回線は誰でも開通可能なの?
10Gbpsって誰でも簡単に設置出来るの?

そもそも、大前提として「10Gbps回線」を使うためには『光ファイバー』を屋内に引き込む必要があります。
一軒家の場合は管理者が自分やその家族ですから、特に大きな問題も出ないでしょう。
ところが、マンションの場合はそう簡単ではありません。
古いマンションの場合は「光回線ですよ」と入居前に言われていても、「100Mbps」にも達していないところが多いです。
実際に私のマンションも「光回線対応」とは言われましたが、回線を変える以前の実測値は下記の状態でした。

古いマンションの場合は、同じ様な状況の方も多いのではないでしょうか?
こうなってしまう理由、それは一昔前は「VDSL方式」が一般的だったからです。
VDSL方式とは?
「VDSL」方式って何?

光回線と言うからには光ケーブルが各戸まで来ていないといけない訳です。
ですが、この「VDSL方式」は光回線が、一階の配線施設までしか届いていません。
つまり、各戸までは「光ケーブル」が届いていないのです。
では一階から先へはどうやって通信を届けているのかというと、電話回線を使って送ってくる方式なのです。
一階から途中階まで送っておいて、その先はLANケーブルで各部屋まで送るところもあったりします。
ですが、どちらにしても同じ方式で、結果はどちらでも同じです。
そして、昔はこちらの方がむしろ主流の方式だったのです。
棟内共用スペースに設置した回線終端装置から各戸までは、既存の電話回線用ケーブルを利用します。
各戸には電話回線用モジュラージャックを経由して「VDSL宅内装置」を設置します。

※ 詳しくはこちらから
屋内まで光回線にしたい!

屋内まで光ファイバーが来ないと10Gbpsにはなりませんね?
もし、マンションで各戸に光回線を引き込みたい場合には、先ほど書いたようにそう簡単な話ではありません。
回線業者(NTT、ドコモ、au、ソフィトバンク、etc.)が可能かどうかはもちろんのこと、場合によってはマンション管理会社等の許可を貰わないと工事そのものが出来ません。
ただし、この「許可」については、既に誰かが光ファイバーを引き込んでいる場合、管理会社は既に許可を出している訳ですから、後から引き込む人は可能であることが多いです。
この辺りは、管理会社に自分で聞くか、業者を通じて聞いて貰うか、業者から既に実績がありますので可能ですと返事が来る場合もあったりと様々なケースがあります。
詳しくは、まず先に申し込みたい回線業者に相談してみるのが良いと思います。
「10Gbps通信」を契約してみた

あるきっかけから、光ファイバーを引き込みました。
そんな中、私のマンションも既に別の方が引き込んでいたお陰で、光ファイバーを引き込むことが出来ました。
つまり、「VDSL方式」ではなく、下図で言う「ONU」という光ケーブルを直結する装置が戸内へ入ったのです。
「10Gbps通信」にした結果
光配線の速度計測の結果
それでは、早速ですが検証を始めましょう。
回線が開通すれば『10Gbps』は出るのか?
気になりますね?
あれ? 遅くない?



数回計測しても、それ程の大きな変化はありません。
なお、光回線の細かな設置機器や説明などは、ここでは申し上げません。それは、Webでいろいろ出ているので検索してみて下さいね!
「10Gbps」なのに「1Gbps」しか出ていない理由

早くならないのには、それなりの理由があるのです。
先の計測結果を見て不思議に思った方もいるでしょう。
高いお金を払っているのに「10Gbps出てないんじゃない?」
ですが、これには理由があります。
まず、この「10Gbps」という速度はルーターと言われる装置(信号を送る)側の話です。
当然ですが、通信ケーブルも、受ける側も「10Gbps」の速度で受けなければ、そのスピードにはなりません。
そういう風に聞くと「それはそうだよね」と納得されたでしょうか?
でも、それこそが最大の問題(落とし穴)なのです。
それでは、PS5、パソコン、それぞれがどういう結果になったのか、それを順番に見ていきましょう!
PS5で計測すると?
私の環境では、FFXIVで遊ぶ時はPS5を使っています。
このPS5本体のスペックをもう一度見直してみましょう。
どれどれ?

通信 | 有線 | 10BASE-T、100BASE-TX、1000BASE-T | |
---|---|---|---|
無線 | IEEE 802.11 a/b/g/n/ac/ax(Wi-Fi 6) | ||
Bluetooth 5.1 |
※ IEEE 802.11axとWi-Fi 6は同じ規格の呼び名が違うだけです。
上記の表の「有線」の所に「1000BASE-T」とあります。これは1Gbpsの事です。
無線の所を見ると「Wi-Fi 6」と書いてあります。その最大通信速度は理論値で9.6Gbpsにもなります。
なお、(1,000MB=1GB)です。
つまり、このスペックだけを見るなら「有線なら1GB」が限界、「Wi-Fiなら9.6Gbps」が限界という風に見えます。
でも、この場合のPS5本体の通信速度の限界はどちらになるのでしょう。
有線で「1Gbps」が限界というなら、どうやらそこが限界の様な気がしませんか?
「1000BASE-T」は、最大1Gbps(ギガビット毎秒)の通信速度を持つ規格です。
これは、1秒間に1ギガビットのデータを転送できることを意味します。
1Gbpsは1,000Mbps(メガビット毎秒)に相当し、一般的に「ギガ」と呼ばれるため、1000BASE-Tは「1ギガLAN」とも呼ばれます。
つまり、10Gbpsということは、10,000Mbpsとなります。

早速、PS5の実測した結果を見てみましょう!
Wi-Fiルーターの性能にもよりますが、良い物でも600Mbps程度しか出ないと想像されます。

10Gbpsを直結した結果です。

こちらは、1Gbps(1000Mbps)に近いですね?
この実測値からお分かりかと思います。
PS5本体は、 1G bps以上の速度を出すことは厳しいのでしょう。
でも、「無線の方のWi-Fi 6は、理論値で9.6Gbpsとなっているのではないの?」
そう思いましたよね?
でも、それが落とし穴です。
それは理論値であって、その速度を保証する物ではないのです。
規格として「そこまでのスピードが可能な規格の機器を使って作られています。」と言っているだけなのです。
実際の性能は、それぞれの機器の性能に大きく依存します。
iPhone16を使って「802.11ax(Wi-Fi 6)」の状態で測定してみましょう。
先ほどのパソコンと同じ位置あたりで測定すると?

パソコンよりも早いですね?
数値だけで見比べると倍くらいの早さです。
パソコンもスマートフォンも、どちらも規格上 では「802.11ax(Wi-Fi 6)」なのです。
この例の様に「規格上でいう上限値(9.6Gbps)」と「実際のスピード上限(2Gbps)」は違います。
※ 条件を同じにするため5GHzの方で計測しました。
PS5本体は、有線LANの規格に「1000BASE-T」とありました。
恐らく1G bps(=1,000Mbps)までが限界なのでしょう。
ですから、PS5を使って遊んでいる人の場合、「1G bpsまでの契約」で十分という結果になりました。
「2~10Gbpsの契約」は、動画を見る、テレビ会議が多いなど、他にも必要なことがある場合には有用です。
その他、高速で多量のデータをやりとりする別のゲームも一緒に遊んでいる人なら価値があるかもしれません。
だとしても、PS5で遊んでいる限りは、10Gbpsは必要無い回線スピードと言えます。
パソコンで計測すると?
パソコンなら爆速なんじゃない?

「じゃあ、パソコンならもっと早いでしょう?」と思うかもしれません。
ですが、こちらにも落とし穴はあります。
接続機器について
それは周辺機器の性能と価格です。
もし、パソコンで「10Gbps」を活かそうとした場合、直結でもしない限り「ハブ」というLANケーブル同士で機器を繋ぐ別の装置が必要となります。
つまり、下図の様に「ルーター」からLANケーブルを「ハブ」に挿し、更にLANケーブルで「パソコン」へと繋ぐことが必要になります。
この場合、接続機器として以下の様なものが必要になります。
- 10Gbpsのハブ
- 市場価格でおおよそ3~5万円します(5ポート、8ポートで価格が違います)。
- たとえ買ったとしても、パソコンの方が対応していない場合も多いです。
- 10GbpsのLANケーブル
- メートル数にもよりますが、市場価格で1本が1,000円程度します(CAT-6Aが規格です)。
- CAT-7は使い道が少し違う上に高額です。一般的には「CAT-6A」のケーブルを使用します。
- 今までLANケーブルを使っていたという人の場合、大抵は「CAT-5e」のケーブルです。
LANケーブの違い
CAT-5e | 1Gbps | 100MHz |
---|---|---|
CAT–6 | 1Gbps | 250MHz |
CAT-6A・CAT-6E | 10Gbps | 500MHz |
パソコン自体の問題点
更にもう一つ、パソコン側の問題に気付いた人もいるのではないでしょうか?
それは、いくら高性能ゲームパソコンであっても、「2.5Gbps LANカード」が付いているパソコンは新しいものか、高級なものです。
現状のほとんどのPCの場合、「1Gbps LANカード」が付いています。その方がパーツとしても安いからです。
価格としては、1,000 ~ 2,000円程度です。
では、新しく『LANカード』を「10Gbps」のものに交換するとすれば、いくらお金がかかるのでしょう?
追加で1万円以上もの費用がかかることが分かります。
回線だけがいくら早くても、 10Gbpsのスピードは実現出来ないのです。
結局は、あれこれ揃えて10Gbps対応にしようとすると、結構な出費になりそうですね?
それが落とし穴なのです。
まとめてみると?
一般的に使われているのは「1Gbpsのハブ」です。そこに繋ぐと当然ですが「1Gbps」になってしまいます。
更にその先、パソコンの「LANカード」も「1Gbps」なのです。
そして、全ての環境を10Gbpsへ変えようとすると、トータルで結構な出費が必要になります。
ちなみに私のパソコンには「2.5GbpsのLANカード」が付いています。
その状態で「10Gbps」のルーターと繋いでみた結果は、以下の速度になりました。
「2.5GbpsのLANカード」ですから、この速度になるのは必然ですよね?

Wi-Fiの性能
LANカードが厳しい?
「いやいや、WiFi-6 が元々付いている訳だから「WiFi-6」の方を使うよ、その方が早いに決まってる!」
そう思う人もいるでしょうね?
でも、そこにもまた落とし穴が待っています。
本当に高速で使える「WiFi-6」の装置というは、パソコンに最初から付いている装置で実現するのは、ほとんど無理な状況なのです。
スペックを見てみれば分かりますが、「10,000Mbps以上ものWi-Fi高速通信」を備えているパソコンは、ほとんどありません。
というか、大抵はスペックに速度までは書いていなくて、「WiFi-6」搭載という言葉で誤魔化されています。
実際に現在販売されているアダプターを見てみましょう(2025年8月時点)。
下記のアダプターは、こんなにハッキリと性能を謳っています。
でも、「2401Mbps(=2.4Gbps)」が限界となっています。
このアダプターでさえも数千円はかかります。
超高速の10Gbps WiFi-6の装置は、殆どない上、たとえあったとしても更に高額です。
10Gbpsって、案外高く付くのね!

BUFFALO Wi-Fi 6E 11ax 6GHz 無線LAN 子機 USB3.2 (Gen1) 対応 内蔵アンテナ タイプ ドライバー内蔵


※ 市場価格で 4,500円程度。
この様に「10Gbps通信」にしようとすると、意外にいろんな面でハードルが高い、ということにお気付きだと思います。
場所によってWi-Fiの受信感度が変わる?
「Wi-Fiは受信場所によって電波の感度が変わる」ということは、皆さんもよくご存じだと思います。
距離だけでなく、壁があったり、物が置いてあるだけでも、電波の感度は変わります。
「この場所はどれくらい?」「どこに置くと良いの?」と思った人も多いと思います。
そんな時は、このアプリを使ってみては?
移動するので、スマホ、パッド向けアプリとなりますが、家の見取り図などがあると、もっとリアルに分布図が見られますよ?
「Wi-Fiミレル」は、ご自宅やオフィスなどのWi-Fi環境を計測し、表示することができるアプリです。


オンラインゲームの場合は、どれくらいの速度が有れば良いの?

ここで、原点に戻ってみましょう!
原点に戻って、オンラインゲームを考えてみましょう!
FFXIVを遊ぶ上で、最低限どれくらいのスピードがあれば良いのか?
そこに立ち戻ってみます。
オンラインゲームに必要な数字
オンラインゲームに必要とされている速度は以下の様になります。
あれ?これなら今のPCでも大丈夫だよ?

上り | 30Mbps~ |
---|---|
下り | 30Mbps〜(FPSは70Mbps〜) |
如何でしょうか、案外と少ないな〜と思ったでしょう?
実は、これぐらいあれば、オンラインゲームでは十分なのです。
私の最初にご覧に入れたスペックの「90Mbps」までも必要ないくらいの数値です。
他にも、オンラインゲームの場合に大事な数値として、応答速度をあらわす『Ping値』があります。
オンラインゲームでは、Ping値は50ms以下が目安とされます。
下記の黄色い矢印の所です。

回線速度に問題がないのにオンラインゲームの反応が遅い(ラグがあるという状態)と感じる場合は、Ping値が適切な値でない可能性があります。
FPSゲームなどで求められるPing値は、もう少し短くて15ms以下が理想と言われています。
FFXIVに必要な数字
以上のことから、FFXIVでは?
- 通信速度が30Mbps以上
- Ping値が50ms以下
というスペックさえ満たしていれば、それで十分なのです。
FFXIVの場合には「画像データ」など重い(大きい)データは、ご自身の機器の方に予めインストールされています。
パッチの際に時間をかけてインストールしている「あれ」のことです。
ですから、遊ぶ時のLAN通信は「画像データ」を送っている訳ではありません。
エリアが変わる時やインスタンスダンジョン(ID)に行った時、「自分の位置」や「(スキル)アクション」の内容やボタン(キーボード、マウス、コントローラー)を押した情報などを送っているだけです。
ですが、これは左程大きなデータではありません。
そうなると、10Gbps高速回線での恩恵を受ける時があるとしたら「大型パッチなどで大量にダウンロードする時」程度なのかもしれません。
「10Gbps高速通信」をどう考えるかが大切

結局のところ「必要かどうか」、「費用が出せるかどうか」ですね?
結論から言えば、1Gbpsの契約で十分ではないでしょうか?
業者によっては2Gbpsの契約もありますが、いずれにしても、そこまでの通信性能で十分な様ですね?
他にも注意することがあるとしたら「光ファイバーを引き込めるかどうか」を業者に確認することでしょうか。
最初の話で「VDSL方式」では 100Mbps以上のスピードは物理的に出ません。
VDSL方式ではなくて、ちゃんと「光ファイバー」を戸内まで引けば 1Gbpsは出ます。
もし、「もっと高速な光回線に変えたいな~」と思っている人は、「工事費がかかる」「機器にお金がかかる」という点に注意して下さいね!
工事費無料などのサービスがあるかどうか、初回サービスがあるどうかなども、合わせて確認してから申し込むようにしましょう!
後、「VDSL方式」には大きな欠点があります。それは共用であることです。
夜など、皆が使う時間帯で混んで来ると急にガクンとスピードが落ちます。
光配線方式なら落ちないかというとやっぱり落ちます。
ですが、VDSL方式で「90M ⇨ 20M」になったというのと、光配線方式で「1G ⇨ 300M」になったというのでは、ゲームへの影響度合いが全然違います。
先ほどのオンラインゲームに必要な数字(30Mbps〜)から見ても、それは分かりますよね?
ですから、最低限の1Gbpsでも「光配線方式」なら効果はあります。
※ 「光配線方式」でも、単体と共用の2種類があります。回線業者によって違います。
※ 単体の場合は影響は少ないです(殆ど速度が変わりません)。共用の場合であっても「VDSL方式」ほど酷いことにはなりません。
おわりに

いかがでしたか?
「私の10Gbpsが無駄になったのでは?」と思うかもしれませんが、工事費は無料でした。
更に、一定期間ですが通信費の割引特典も付いています。
お仕事やその他でも使うので、そう言う点でも、大きな問題は無いです。
ですが、改めて「ゲームではどうなの?」と思って使ってみると、まだまだ周辺機器が高いことに驚かされます。
また、パソコン始めゲーム機器なども、そこ(10Gbps)まで高速な通信を前提にしている訳ではないことにも気付かされました。
この先で新たに出てくる「パソコン、PS6」なら、高速回線に対応する様になるのかもしれませんね?
ですが、そういった商品が普及するまでには、まだもう少し時間がかかることでしょう。
もちろん、「10Gbpsでいいのだ!」という方もいらっしゃるでしょう。
そこは、それぞれの事情で構わないと思います。
ですが、もし今「どうしようか?」とお悩みの方は、今はまだ時期尚早で「1~2Gbpsの光回線契約で十分です」とお伝えしておきます。
ここでも使っていますが、回線速度の計測サイトをご紹介しておきます。
なお、USEN以外は「スマホアプリ」もあります。
実際より少し早い目に出るように思いますが、手軽なので一般的によく使用されています。
その為、他と自分がどれぐらい違うのか比較する際には、こちらがわかり易いです。
お手軽なのはこちら。USENが自社サービスを調べて貰う用に回線速度計測を行っています。
Ping値を図りたい場合には、上記の二つでは分かりにくいので、こちらが便利です。
緑のドット「・・・・・」で、ゲーム、動画など、どれぐらい対応度があるかも示してくれます。
※ なお、Ping値は測る度に揺れ動きます。それが普通です。数回計ってみて、上限値、下限値、平均値などで確認して下さい。
コメントはこちら(承認制:反映するまでお時間を頂くことがあります)